竜の棲み処

#04 竜の紅い花

「……早く交尾したいけど、ルサカは初めてだもんね。……大丈夫、ちゃんと交われるようにするから」
 もうタキアの息は荒く乱れている。
 ルサカは天蓋付きの大きな寝台の角に追い詰められ、震えるばかりだった。
「すごくいい匂い。早くルサカの中に入りたい」
 タキアはそう囁きながら、ルサカの首筋に唇を寄せ、キスを繰り返す。
「……ふ、う……」
 ルサカは怯えたまま、小さな嗚咽を洩らす。
 どうやっても、この竜の巣からは逃れられないし、タキアと交尾をするしかないのは分かりきっている。
 諦めていても、どうしても嗚咽を止められなかった。
「泣かないで、大丈夫だよ。……すぐ一緒に楽しめるようになるから。……まずはしるしをつけようね」
 ルサカの膝を割って、身体を挟み、足を閉じられないようにしてから、ゆっくりとルサカの下着を脱がせる。
「……しるしさえつけば痛みもないし、そんなに震えないで」
 言いながら、ベルトを外し、前をくつろげ、その昂ぶり、熱くなったそれを取り出す。
 ルサカはそのタキアの昂ぶったそれに、声にならない悲鳴をあげた。
 人間とは確実に違う生殖器だった。その大きさも形も、完全に異形のものだった。
 やっぱり、タキアは人間じゃないんだ。
 ルサカは竦んで固まったまま、ぎゅっと目を閉じる。
 そんな大きなものを挿入されると思うと、恐怖で声すら出なかった。
 その大きな生殖器は、既に先走りの体液を溢れさせ、タキアの興奮をルサカに見せ付けるように、脈打っていた。
「ルサカ、怯えないでいいよ。……しるしさえつけば、交尾が大好きになるよ」
 その異形の生殖器が、ルサカの両足の奥の、固く閉じた蕾に押し当てられた。
「やだ、やだああっ……!」
 そこで初めて、ルサカは悲鳴をあげ、抵抗しようとした。
 タキアは軽くルサカの抵抗を抑え込み、両手首をまとめて片手で掴み、シーツに押さえ付ける。
 もう既にその異形の生殖器の先端はルサカの蕾に押し当てられ、濡れた音を立てながら、擦りつけられた。
 嗚咽をあげ震えながら、ルサカはその濡れた感触に耐える。
 その熱く硬いそれが擦りつけられるたびに、くちゅっ、くぷっ、という淫らな濡れた音が響く。
「……は、あっ……すご、ルサカのここ、もう飲み込み始めたよ……」
 タキアはゆっくりと腰を擦り寄せる。
 信じられなかった。あんな巨大なものが、痛みもなく、ルサカの中に侵入し始めたのだ。
「うあ、あ…っ! …あ、は…っ…!」
 圧迫感に思わずうめくが、痛みはなかった。全くない。それどころか、ルサカは感じ始めていた。
 この硬く熱く膨れ上がった異形の生殖器が、下腹を蕩けさせそうなくらいに、甘く感じられているのだ。
 その異形のものは、粘った水音を立てながら、ルサカの狭い中をゆっくりと犯していく。
「は、あっ…あ、ルサカ、すごくいいよ、気持ちいい……」
 タキアは恍惚と息を吐いた。
 さすがに大きすぎて途中までしか挿入は出来なかったようだが、タキアはゆっくりと腰を動かし始める。
「あ…、あっ…! タキア、やだ、やだっ…うごか、ないでっ……ああっ!」
 タキアが動くたびに、ルサカの背筋を何かがぞくぞくと這い上がっていく。
「だめ、もう我慢できないよ……」
 ルサカの足を掴んで大きく広げさせ、激しく腰を打ちつけ始める。
「あ、あっ…! あ、んぅっ! あっ…!」
 堪らずに、ルサカは甘い悲鳴を上げる。
 信じられなかった。
 到底、入らないだろう。あんなものを入れられたら身体を引き裂かれて死んでしまう、というくらい太く硬く、大きかったあの異形の生殖器が、こんな簡単に、痛みすらなく、身体の中に入ってきている。
 狂おしいくらいに快楽を呼び覚まし、ルサカは夢中になって腰を摺り寄せた。
「タキア、タキア…っ…!」
「ルサカ、可愛いね…っ…もっとしてあげる…」



「……ルサカ、しるしが付いたよ。これで、幾らでも交われる」
 両手を投げ出して、ルサカは仰向けに寝そべったまま、細く甘い声で鳴いていた。
 ルサカの小さな身体は、タキアの異形の生殖器を根元まで咥えこんでいた。
「ふあ、あ、あっ…あ、…んっ…」
 甘く蕩けた声を上げ、恍惚としたまま、淫らに腰を揺らし続ける。
 その下腹には、紅い五枚の花弁を持った小さな花のようなアザが浮かんでいた。
「このしるしは、竜と交わったしるし。……これでもう、痛みも感じないし、快楽しか感じられないようになったよ」
 そのルサカの下腹の紅い花を指先で撫でる。
「あーっ……、あ、うぅんっ……」
 ルサカは完全に、竜の交尾の虜になっていた。
 動かないタキアに焦れて、自分から進んで腰を振り、その熱さを、昂ぶりを、楽しむ。
 何度も達したはずなのに、ルサカの性器は硬くたち上がり、濡れそぼり、脈打ったままだった。
「タキア、タキア……気持ち、いい、とけ、ちゃう……」
 あれほど怯えていたのが嘘のように、荒く甘い吐息をつきながら、ルサカは夢中になって腰を振っていた。
「……ルサカ、そんなに気持ちいいの? ……本当に、可愛いね」
 ルサカの膝をつかんで、限界まで広げさせる。
 根元まで貪欲に咥え込み、ひくひくと収縮を繰り返すルサカの蕾を、タキアは嬉しそうに眺める。
「……は、っあ…すご、こんなにしたのに、まだ締め付けてるよ、ルサカ」
 腰を軽く打ちつけただけで、繋がったそこから白い体液が溢れ、零れ落ちる。
 タキアが腰を打ちつけるたびに、ルサカの小さな身体は跳ねあがった。
「あーっ…あ、あっ…! ふああ、あっ、あっ……!」
 蕩けた表情のまま、ルサカはあられもない声を高く甘く、あげる。
 ルサカはもう何も考えられなかった。
 この、身体の中で膨れ上がり突き上げ、擦りあげる異形のものの事しか考えられなかった。
「あっあっ…! あーっ、んう、ああっ!」
 紅い花の咲いた下腹を突き上げられながら、ルサカはただ甘く高い声をあげ続けるだけだった。



 ルサカが目覚めた時、タキアの姿はなかった。
 身体の節々が痛んだが、ルサカは恐る恐る、寝台から起き上がる。
 両足の間から、信じられない量の精液が溢れ出て、シーツを汚していた。
 信じられない。
 何もかも信じられなかった。
 夕べの事はまざまざと記憶に刻まれている。
 あんなに恐ろしくて怯えていたはずなのに、最後は喜んで自分から腰を振っていた。
 自分の正気とは思えない行動に、ただただ、ルサカは混乱していた。
 白濁した体液にまみれた下腹に、紅い花のようなアザが出来ている事に気づく。
 これをタキアは『竜と交わったしるし』だと言っていた。
 これがつけば『快楽しか感じられなくなる』とも言っていた。
 ぞくり、と背中を何かが這い上がる。
 タキアのあの、大きく硬く張り詰めた生殖器を思い出しただけで、身体の中に火がついたように、熱くなる。
 あれを、はやく、いれてほしい。
 一瞬で頭が真っ白になる。
 早くタキアに抱かれたい、それしか考えられなくなっていた。
 おかしい。
 おかしい、おかしい、おかしい。
 そんな事、昨日までちっとも考えていなかった。
 ただ交尾が怖くて仕方なくて、泣いていたのに。
 おかしい。
 身体が狂ったようにタキアを求めている。
 昨夜、あれほど何度も達したのに、ルサカの性器は既に硬くたち上がり、涙のような蜜を滴らせていた。
 耐え切れずに、夢中でそれを掴み、擦り始める。
「あっ、あっ…! あぅ、んぅっ……」
 体中に電流が流れるような感覚だった。
 自慰の経験はある。年頃なので、それは必要な事だった。
 今まで自慰だけでこんなに感じた事はなかった。
 ただ擦りあげているだけで、淫らな声が零れ落ちた。
 止めようがなかった。
「ふあ、あっ…あ、あっ…」
 夢中になっていたその時、背後から聞き覚えのない声が聞こえた。
「おー。しるしがついてる。これがタキアの初めての番人か。……これはまた、可愛いの選んだなあ」
 淫らに弄っていた手を掴まれ、ルサカは驚いて顔を上げる。
 そこには、赤毛にすみれ色の瞳の……タキアに良く似た男が真後ろに立っていた。
「タキアはひどいな。……しるしがついたばかりの番人をひとりにするなんてさ」
 ルサカは見知らぬ誰かに痴態を見られた上に押さえつけられ、恐怖のあまり声が出なかった。
 それでもルサカの興奮は冷めない。
 甘く熱い乱れた息を吐きながら、ただ震えていた。
「ああ、俺はタキアのお兄ちゃんだよ。リーンていうんだ」
 確かにタキアによく似た端正な面差しだった。タキアをうんと大人にして大柄にしたような。そんな風貌だった。
 汚れたシーツを気にもしないのか、寝台に這い上がり、ルサカを背後から抱きかかえる。
「しるしが付いた直後の一週間は、竜の交尾のとりこになる。……もう、竜との交尾の事しか考えられないんだろ?」
 ルサカは怯えて固まったまま、答えない。答えたくとも恐怖のあまり、声も出ないのだ。
「あーあ。かわいそうにな。……タキアが帰ってくるまで、遊んであげようか」
 片手でルサカの口元を押さえ、開いた片手をタキアの残した体液を溢れさせる両足の奥に忍びこませる。
 いきなり二本の指を押し込まれ、ルサカは思わず声をあげた。
「あ、あっ…!」
「かわいい声だね。……中はどんな感じかな」
 無遠慮なその二本の指は、淫らな音を立てながらルサカの蕩けた内壁を探る。
 そのたびにくちゅっ、と粘った音が響いた。
「あっ、ああ……! だ、め、やめ……っ……!」
 身体は融けたように力が入らなかった。ただされるがままに、喘ぐしかなかった。
「いい反応。……中も熱くて狭くて蕩けてて最高だな。……タキアは意外と見る目あるなあ」
 全身を震わせて快楽を伝えるルサカの髪に、軽く口付ける。
「俺も君みたいな子欲しいな。……やらしくて、素直で、こんな身体持ってるなんて最高の番人じゃないか」
 中を淫らに弄られながら、口元を押さえていた手が滑り落ち、ルサカの硬く熱く腫れあがった性器に絡む。
「あっあ! ……くぅっ……!」
 その途端に、ルサカは達した。
 荒く乱れた甘い息を洩らす唇に、リーンが口付けようとした時だった。
「だめだよ、兄さん。この子は僕の番人なんだ」
 ルサカの唇がタキアの片手で塞がれ、引き剥がされる。
「……お前がしるしついたばかりの、いたいけなやらしい子を巣に置き去りにしたんじゃないか」
 ちっ、と小さく舌打ちして、リーンは諦めてルサカを離す。
「エサがなかったんだ。僕はまだしも、ルサカはしるしついたばかりだから、たくさん食べさせないと死んじゃうだろ」
 乱れた息のままのルサカの身体を濡れたタオルで拭いながら、リーンに口答えする。
「こんな小さいの番人にしたら育てるの大変そうだけど、悪くないな。……素直でやらしくて身体もいいとか最高。……俺も次に番人作る時はこんな子にするかな」
 リーンは素直に寝台から降りて、長椅子に移動する。
「……兄さん、僕これから交尾するんだけど」
「いいじゃん。見せてよ」
 リーンは悠然と長椅子に座り、足を組む。
「兄に交尾みせるのっておかしくない?」
「俺はエルーの交尾見たことあるけどな。まあそれは偶発的な事故だけど」
「本当に?! ……姉さんなにやってるんだ」
「俺もこんな幼い可愛い番人が欲しい。今までこんな小さい男の子ってのはなかったなあ。どんな感じで交尾するのか見せてよ。良さそうなら、俺もどっかで攫って帰る」
 お気に入りのルサカを褒められて、タキアも悪い気がしない。
 ルサカを背中から膝に抱き上げ、髪に口付けると両足を広げさせる。
 もうタキアとの交尾の事しか考えられないルサカは、素直に広げられるままに、両足を開く。
 リーンに見られながら、タキアの硬く熱く昂ぶった生殖器が取り出され、ルサカの赤く綻んだ蕾にゆっくりと挿入された。
 くぷっ、という音とともに先端が押し込まれる。そのまま、根元までゆっくりと奥深くまで、異形の生殖器が貫いた。
「く、あっ…! あ、あーっ……!」
 根元まで押し込まれた瞬間に、咽喉を仰け反らせて、ルサカは達した。
「すごいな……しるしついたばかりでこれか」
 リーンは感心したように、その繋がった場所を眺める。
「……っ……締め付けもすごいよ。……可愛いし、料理も上手だし、……最高の番人だよ」
 タキアがゆっくりと突き上げ始めると、甘えたようにルサカは細く、乱れた声を洩らす。
「すごいな、こんな身体が小さいのに根元まで入るのか。……しるしがつけば、こんな小さくても交尾出来るんだなあ……。今度こんな子探してこよう」
 リーンは冷静に、タキアに突き上げられ甘く鳴くルサカを品定めしている。
 見られている。
 ルサカは甘く蕩けた声をあげながら、羞恥に身体を震わせる。
 見られているのに、もう止められない。ただただ、タキアが欲しかった。


2016/01/27 up

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